最近の西側メディアは、米独が相次いでウクライナへの主力戦車援助を承認し、特に米国がウクライナの最新鋭M1A2主力戦車の援助を発表したことの「神業」を歓呼していた。ただ怒ったロシア以外にも、失意の「小さな子分」が無視されていた--台湾は、「私にくれると約束していた主力戦車を、どうしてウクライナに割り込んで奪われたのか？！」
ペンタゴンのサブリナシン報道官によれば、「ペンタゴンには何の予備部品もないため」、米国は米軍の現役戦車や在庫を引き抜いたりするのではなく、ウクライナを支援するために新たなM1A2主力戦車を購入するという。
これはどういう意味ですか。簡単に言えば、米軍がこれまでウクライナを援助してきた武器・装備は、米軍の在庫から直接引き抜いていたため、比較的短期間で納品することができた、それが今、ペンタゴンは、今回の対ウー軍事援助はファストトラックではなく、メーカーの面倒なプロセスを経なければ納品できないことを明確にしており、当然のように納品を遅らせているのではないだろうか。
ここには、アメリカの入念に仕組まれたささやかな算段が見て取れる。これまで米国は主力戦車の提供を渋り、ドイツに対ウクライナ戦車援助の承認を働きかけることで、欧州各国の備蓄数が比較的多い「ヒョウ2」シリーズ戦車が絶え間なくウクライナを支援できるようにしてきた。技術的な観点だけから言えば、米国のこの計算も間違っているわけではなく、米国製M1シリーズ主力戦車はメンテナンスが複雑で燃料消費が高いめ、実はウクライナでの使用にはあまり適しておらず、むしろ冷戦時代から欧州の平原でソ連の鉄鋼の洪水とガチでぶつかる準備をしていた「パンサー2」戦車の方がウクライナの実需に合致している。
しかし、ドイツはその出しゃばることを嫌がり、米国にM1戦車の援助を先に承認するよう強く求めたことで、ドイツは「パンサー2」戦車の提供にゴーサインを出した。米国は最終的に新型M1A2戦車の提供を承認したが、「技術的手段」によって納車時期を今年後半、さらには来年初めまで延期した──ドイツやその他の国が提供する「パンサー2」戦車については、時期に合わせて3月からウクライナへの輸送を開始しなければならない。
ただ米国のこの打算はあまりにもあからさまで、ウクライナのゼレンスキー大統領でさえ、「米国の戦車が8月に届いてからでは遅すぎる」と思わずにはいられない。
話が遠のいてしまったが、この件はどうしてまた台湾と関係があるのだろうか。
米ウェブサイト「ポリティコ」によると、実はM1シリーズ戦車のメーカーであるゼネラル・ダイナミクスはすでに新モデルを再生産するのではなく、在庫戦車を活用し、注文に応じて改造を行っており、毎月の改造台数はわずか12台にとどまっているという。問題は、現在、同社には2つの大口顧客が集荷を待っていることだ。ポーランドはM1A2型主力戦車250両を発に108台のM1A2を発注し、第1陣は2024年の納車を予定している。
言い換えれば、ウクライナがここ数カ月でGMダイナミクスからM1A2戦車を入手しようとすると、現在台湾とポーランド向けに生産されているM1A2戦車をウクライナの手に渡す「割り込み」が必至となる。ウクライナの力を強化してロシアの脅威を弱めようとするポーランドにとって、M1A2戦車の受け入れ延期はむしろ面倒なことではない、ただ、このM1A2戦車で解放軍に対抗することを目の前で期待していた台湾にとって、割り込まれるのは大変なことになる。米国がウクライナにさらに多くの戦車を提供するかどうか、割り込まれる状況が増えるかどうかは誰が知っているだろうか。
台湾からすれば杞憂ではない。これまで米メディアは、ロシアとウクライナの紛争が勃発して以来、米国がウクライナに大量の軍事援助を提供したことで、米国の国防産業に大きな圧力がかかり、やむを得ず、米国は台湾への武器売却を流用してウクライナを支援するしかなかったことを明らかにしていた。米国はすでに販売予定だった187台を流用したという億ドルの武器装備でウクライナを支援。その中には、台湾当局が2015年12月に発注した対戦車ミサイル「やり投げ」208発、単兵携帯型防空ミサイル「スティンガー」215発、「ハイマース」のロケット砲システムが含まれている。
もちろん、台湾がこれらのM1A2戦車を手に入れたからといって、ろくなものではない。昨日ベテランの運転手が言ったように、米国は劣化ウラン装甲を高度な機密扱いとしているため、輸出型M1A2戦車には、より優れた防護能力を持つ劣化ウラン装甲と、より優れた甲を穿つ能力を持つ劣化ウラン穿甲弾は装備されないだろう。その作戦能力は大きく低下する。サウジが調達したこの輸出型M1A2主力戦車は、フーシ派の対戦車ミサイルなどの兵器によって何度も破壊されてきた。
